【2018年度】三大ねぶた祭りをはしごして来ました

2018年8月16日津軽・青森の歴史周遊記

今年は初めて8月頭からお休みが取れたので、連日ねぶた祭りに行ってきました。
ねぶた擬人化をやっているからには改めて各ねぶたを体験せねばと、

  • 8/2 青森ねぶた(初日)
  • 8/3 五所川原立佞武多(初日)
  • 8/5 弘前ねぷた(5日目)

という順で巡ってきましたので、それぞれの特徴や気に入った造形、
お囃子の印象などなどの感想をここに書き連ねたいと思います。

ねぶた期間は7月末の暑さが嘘のように涼しく、非常に過ごしやすい天候でした。
台風の影響なので、雨も降ってしまうのですが……。

まずは初日の青森ねぶたへ

2018年のねぶた大賞 「岩木川 龍王と武田定清」

今年は地元の治水工事を題材にしたこの作品がねぶた大賞でした。
造形の出来もさることながら、色と明暗のバランスが素晴らしく目を惹く作品でした。

これまでは三国志や水滸伝、歌舞伎などを題材にしたものが多かったのですが、
近年は地元の逸話を取り上げることも増えたそうです。

地元と言えば、東北人としては蝦夷も非常に気になっていて、
事前チェックしていた阿弖流為はぜひとも見たかったのですが、生憎この日は出陣せず……。

スケジュール的に他に見られる日がなく無念でしたが、新聞やTwitterに、
いい写真を掲載してくれる方がいらっしゃるので本当に助かります。

このアカウントの方は他にも青森ねぶたの写真をたくさん掲載されていて、
特徴や見どころを解説してらっしゃるので必見です。

お気に入りは孫悟空

当日初めて見る山車もあるのですが、その中でも西遊記テーマの山車がお気に入りです。
孫悟空がすごくすごく格好良いお顔をしていたので、思わず追っかけをしてしまいました…(笑)。

サイズが人と同じくらい(それでも大きいですが)だからなんでしょうか……
なんか……顔が好き……カッコイイ……好き……。

実を言うとモデリングするようになってから、ねぶたに興味を持ち始めたところがあります。
指先まで丁寧に作ってあるとすごいな~と思います。手足は絵でもモデリングでも難しいので。

主役ではないけれども丁寧な作り

他にも「平重盛と悪源太義平」ねぶたの裏側にあしらわれていた蓮の花と蝶の造形もお気に入りです。
花びらの一枚一枚を立体におこして、非常に繊細に作ってありました。

西日本へのエール(ケッパレは東北弁でガンバレ)の両脇に配置されていたのですよね。
蝶は彼岸の方の化身とも言われますし、蓮は極楽浄土に咲く花です。
祈りが込められているのでしょうね。

内部に電球を仕込む構造上、蝶がふっくらしているんですが、
このぽってりした感じのなんとも言えない可愛らしさ。色味も上品で素敵。

楽しく乗りやすい曲調のお囃子

青森ねぶたは各地のねぶたの中で最も名の知れた代表格ですが、ねぶたを回したり前後にゆすったりといったパフォーマンスや、群集した跳人の跳ねまわる様子の楽しさはやはり随一ですね。
お囃子も一番楽し気な曲調だと思います。特に手振り鉦は腕を回しながら細やかに打ち鳴らす動作がとてもきれいで、時には跳人のように飛び跳ねながら演奏するので、見ていて本当に楽しくなります。
前日の8月1日はお囃子の競技会があるんですよね……来年は観に行きたいなぁ。

ねぶた小屋隣のアスパム。この日はとてもいい天気でした。

出陣前の高揚感

出陣前のねぶた小屋では、引き子(ねぶたを引っ張る人)の方々がねぶたの下でじっと座っているんですが、そんな様子も祭り直前の味わいがありました。体力温存のためかもしれませんが、静かにねぶたの下でうずくまる引き子と興奮気味にねぶたを見上げる見物客との対比が絵になるなぁ……なんて思いました。
17時くらいになると、ねぶたは待機場所へと移動し始めるのですが、中には本番に向けてねぶたの動きの練習をしている団体もいたりします。最後の練習なのでしょうね。

早めに青森に着いておいて、待機中のねぶたの様子を観察するのも面白いものです。

初日の五所川原立佞武多へ

五所川原は初日(8月4日)から雨が降ってしまって残念でしたが、先頭の山車が一周して戻ってきた後だったのが不幸中の幸いでしょうか。とはいえ山車もかなり濡れていたので翌日の運行は大丈夫かと思いましたが、水に強い紙と染料を使用しているそうで、破れや染みもなく無事運行できたようでした。

駅前のロータリーは非常に混み合う

大きい、これすなわち浪漫

立佞武多はやはり縦型の構図と上から押し迫るような迫力がすごいです。
その高さのために青森ねぶたや弘前ねぷたのようなパフォーマンスはまったく出来ないにも関わらず、
格納庫から出てくるだけで歓声が上がるんですよね。
以前、ガンダムの立佞武多も作られたのですが、巨大であることが共通の浪漫なのかもしれませんね……。

半面、倒れないか心配になるんですが、解説には「風速15mまで対応可能」って書いてありました。
風速15mは時速50~60kmの車に乗っているときに受ける風、という話なので、
けっこうな強さまで耐えられるっぽいですね。丈夫。
中心に鉄骨が通ってるということなので、じゃあほぼビルが動いているようなものなのかも……。

この立佞武多は今年の新作で(立佞武多の大型は1年に一つ作られ、3年で引退するので、常に三台しか稼働しない)、派手で色のメリハリも良くて素敵でした。土台からはみ出す足にも勢いを感じます。
作品の名前を掲げた看板も、お洒落で色遣いもすごく好き。

土台部分も華やかに

でっかいなぁ~。
足元あたりから見上げるとあまりの大きさに後ろにひっくり返りそう。
それにしても土台まで色鮮やかで華やかですね。
土台部分でも長さを稼いでいるのですが、かといって手を抜かないところがすごい。
この立佞武多は「歌舞伎創生・出雲阿国」なので、よく見ると歌舞伎の面も土台にあしらわれていますね。
躍動感あふれる「出雲阿国」は今年で見納めになります。

花形・大太鼓の存在感

忠孝太鼓という中型立佞武多は2階建てになっていて、
2つの大太鼓が上下に据えられています。かっこいいですよね、浪漫を感じる……。

ちなみに三大ねぶたはこの忠孝太鼓よりも大きい、いわば超大型大太鼓をそれぞれ所有しています。
名前もそれぞれにあって、青森は出世大太鼓、弘前は津軽剛情張大太鼓、五所川原はあすなろ大太鼓です。
こういった巨大すぎる大太鼓で有名なのは秋田県の綴子大太鼓があるそうで、
やはり巨大であることは浪漫なのでしょう……。

ただ、太鼓を叩く人がいないと出陣しない年もあり、今年の五所川原は出陣できなかったようです。
弘前の大太鼓は6年ぶりの出陣で、先陣を切る大太鼓の存在の大きさを実感します。

もみくちゃにする気満々の勢い

五所川原は駅前の歩道の幅が狭いので、人混みに押しつぶされそうになるのですが(お子さん連れの場合は駅前を避けた方が良いと思います。本当に……)、逆に言うとあの混雑具合は三大ねぶたの中では最も熱狂的なお祭り感を感じられるのではないかと思います。
お囃子の曲調は賑やかしいという印象があります。掛け声も「ヤッテマレ」で威勢がいいんですよね。実際「やっちまえー!」という意味なので、一番けんかっ早そうな掛け声ですね。

威勢の良いお囃子と高校生たち

その後、雨が本降りになったため、観客もまばらになってしまいました。にも関わらず、ずぶ濡れになった踊り手の高校生たちが、威勢よく声をあげて踊りだしたのには感嘆しました。半分ヤケクソだったのかもしれませんが、こういうときにめげずにやり切るのは大変なことだと思います。すごい。
踊り手だけじゃなく、囃子方の皆さんも最後まで笑顔で演奏していました。

この熱意に応えて最後まで見届けねばなるまい……と思ったかどうかは分かりませんが、雨降りのなか残り続けた観客からの精一杯の拍手でこの日は終了となりました。
初日からあいにくの雨となってしまいましたが、2日目はどこも晴れたようで一安心です。

5日目の弘前ねぷたへ

ひそかにいるE.T.

弘前は8月5日に行ったのですが、この日は肌寒いながら雨に降られることもなく無事に開始されました。
弘前だけ初日じゃないのは、祭りの前半と後半で運行ルートが違うため、後半の方が混雑に巻き込まれずに移動できたからです。いや、念のため……(笑)。
祭り期間の前半が弘前公園コースで、後半が駅前コースです。

弘前ねぷたは、とにもかくにも参加団体が多い!
待機中のねぷたが通りにずらっと並ぶので、実に壮観でした。

数年ぶりに出陣する津軽剛情張大太鼓

幽玄な曲調と掛け声のお囃子

お囃子は厳かな曲調ながらも底力を感じる掛け声とあいまって、三大ねぶたの中では最も伝統的な祭りの雰囲気を楽しめると思います。
ねぷたの山車が一列に並んでゆっくりと道路を進んでいく様子は、ルーツのひとつと言われる灯篭流しを彷彿とさせますね。まあ昔は各団体がてんでに運行していたらしいので全然関係ないんですけども……。

個人的な好みでは弘前のお囃子が一番好きです。
本来ゆったりしたテンポですが、団体によってアレンジもするので、中にはテンポの速いお囃子もあったりします。お囃子の違いに注目するのも面白いです。

西遊記も人気の題材

必要性による華麗な動き

弘前ねぷたの孫悟空も恰好いいですね……。
扇型のねぷたは信号機や道路標識を避けるために、扇部分を沈ませたり、扇の上部が折れ曲がるようにするなど、工夫が随所に盛り込まれています。
扇を下で支えている土台部分を「開き」というのですが、その名のとおり、扇部分を昇降させるときに開いて、その動きが何とも言えず優雅な印象を与えていると思います。
扇部分が回転するねぷたもあるので、方向を調整して避けるという力技もやってのけていましたが。
ただ、事故があった年もありましたから、ハラハラしながら見てもいました。無事に終了して良かったです。

勇ましい表情の弘前市のマスコットキャラクターたか丸くん。
弘前ねぷたは扇型のねぷたが有名ですが、こんな風に人形型もあります。弘前では人形型を組ねぷたと呼びます。

青森や五所川原とはまた違った系統の造形

武者絵を直接描く扇型がメインだからでしょうか。
弘前の人形型は装飾の描き込みが細やかで、また別の見応えがあります。

秘密基地への帰還

帰りがけに、格納庫へ帰る途中の小さなねぷたを何台か見かけました。戻り囃子をしながら帰途を歩いていました。
見かけたのは子どもねぷたかと思いますが、各町内から会場までのけっこうな距離を歩いたり車に引かれたりしながら行き来するそうです。
子どもねぷたが一般家庭の庭先や軒先に作られた小さな格納庫に入っていくのは何だかワクワクするものがありました。

気になったプロジェクションマッピング山車

ちょっと変わったものとして、こんな山車もありました。
プロジェクションマッピングで投影していると思うんですけど、3Dモデルの金魚姫といったところでしょうか……とても美人で詳細が気になります……デザインもすてき……。

上記の映像が正面の鏡絵のようで、裏には見送り絵として美人画が描かれていました。金魚姫ってなんとなく丸くて可愛らしいイメージだったんですけど、妖艶なのもいいですね~。眼福です。

所感

ねぶた期間は仕事の繁忙期に重なるので、今までなかなか観に行けなかったのですが、やはり行って良かったとしみじみ思いました。
それぞれの良さや特徴がより感じられ、創作への良い刺激になりました。
描きたいものがたくさんできましたし、興味の範囲も広がったように思います。

擬人化に関しても、当初のキャラ付けと改めて体感した祭りの印象に乖離がなかった(個人的には)ので一安心しました。このまま行こう。

感想をまとめるのが得意ではないので、この記事を書くのはだいぶ時間がかかりましたが、
何かしらお暇つぶしになっていれば幸いです。
さ~描くぞ~!

2018年8月16日津軽・青森の歴史周遊記ねぶた祭り

Posted by 春呼屋